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「劇場版 呪術廻戦 0」EDテーマ『逆夢』歌詞が意味する2組の愛と憎?原作ファンが涙腺崩壊する理由

「劇場版 呪術廻戦 0」EDテーマ『逆夢』歌詞が意味する2組の愛と憎?原作ファンが涙腺崩壊する理由

2021年12月公開となった「劇場版 呪術廻戦 0」。King Gnuが歌う2曲のテーマソングのうち、エンディングテーマ『逆夢(さかゆめ)』の歌詞が呪術廻戦ファンからとにかく刺さり過ぎて泣けると話題を集めています。そこで本記事では、『逆夢』から読み取れる歌詞の意味と作品との関係について考察してみたいと思います。

作詞作曲を手掛けたのはKing Gnuの常田大希氏。常田氏は楽曲を制作するにあたり「作品の奴隷」となって取り組んだと話しています。

もともと「劇場版 呪術廻戦 0」は「呪術廻戦」の前日譚として描かれた「東京都立呪術高等専門学校」を映画化したもので、主人公の乙骨憂太が自身に取り憑いた幼馴染・里香の呪いを祓う物語とされています。主題歌である『一途』の歌詞には、作中で乙骨が里香へ伝えたセリフが活かされた歌詞だと分かります。

また、エンディングテーマである『逆夢』の歌詞も、乙骨と里香の愛について書かれたものと思われます。

「あなたが望むなら
何処迄も飛べるから
意気地の無い僕もいつか
生きる意味を見つけたなら」

「この愛が例え呪いのように
じんわりとじんわりと
この身体蝕んだとしても」

「心の奥底から
あなたが溢れ出して
求め合って重なり合う
その先で僕ら夢と成れ」

出典:King Gnu「逆夢」作詞/作曲 常田大希

一方で、映画を見た作品のファンの間では、エンディングテーマの『逆夢』の歌詞は、乙骨と里香だけでなく、五条悟と夏油傑のことも指しているのでは?とささやかれています。

以下、本編のネタバレも含まれますのでご注意ください。


乙骨と里香の物語の裏で描かれる、夏油傑の最期に重なる歌詞

「劇場版 呪術廻戦 0」は主人公こそ乙骨憂太ですが、夏油傑(げとうすぐる)の最期という重要なシーンが描かれている物語でもあります。

映画公開までにアニメで放送されているのは起首雷同編までですが、原作ではこの後、五条と夏油が親友だった高専時代が描かれています。この先をアニメ化する前に、原作を読んでいないアニメファンに「劇場版 呪術廻戦 0」で本来の夏油傑の終わりを見せておく狙いがあったのでしょう。

つまり「呪術廻戦」原作のファンは、すでに五条と夏油の3年間の青い春、それがどのように道を分かち、この最期に至ったのかを知ったうえで映画を見ているわけです。

「劇場版 呪術廻戦 0」最後のシーンは、里香を解呪した乙骨と五条が会話するシーンですが、そこで五条は夏油について

「僕の親友だよ。たった一人のね。」

と話しています。

道が分かれても、それから10年が経っても、その手でとどめを刺したとしても。

五条にとって夏油は、過去形ではなく今も大切な親友なのです。

そんなシーンの直後に流れるのが、主題歌の『一途』ではなく、エンディングテーマである『逆夢』です。

あなたが望むなら
この胸を射通して
頼りの無い僕もいつか
何者かに成れたなら

出典:King Gnu「逆夢」作詞/作曲 常田大希

この歌詞に、親友・五条の手によって終わりを迎えた夏油の想いを重ねる原作ファンが多いのです。

原作では、2人が道を違えた直後、夏油は五条に「殺したければ殺せ、それには意味がある」と言っていました。五条はそのとき殺せず見逃していますが、きっと2人はいつかこうなるとお互い分かっていたのではないでしょうか。おそらく、それができるのは五条だけだということも。

だから原作ファンもこの歌詞に、「最強である五条とは違い、自分は何者にも成れなかったとしても、そんな自分を止めるなら五条しかいない」と思っていたであろう夏油の想いを重ねてしまうのではないでしょうか。

さらに『逆夢』の歌詞のなかには、五条から夏油への想いにも重なると思われる部分が見受けられます。

あなたはいつだって
当たり前の様に隣にいると
そう思っていたあの頃

失くせやしない
記憶の雨が古傷へと
沁み渡ろうとも

出典:King Gnu「逆夢」作詞/作曲 常田大希

愛と憎を
聢と繋ぎ合わせて
一生涯醒めない程の
荒んだ夢と成る

出典:King Gnu「逆夢」作詞/作曲 常田大希

この歌詞には、五条が高専時代、当たり前のように一緒にいた親友・夏油への想い、そしてそんな親友の変化に気づけず、自ら止めを刺すことになった自分への“呪い”を表しているようにも感じられます。

正夢でも、逆夢だとしても

出典:King Gnu「逆夢」作詞/作曲 常田大希

曲名の“逆夢”とは、現実とは逆のことを見る夢、もしくは実際には逆のことが起こるような夢という意味ですが、もしあのまま一緒に同じ道を歩んでいたら…と思わずにいられません。

原作ファンの想いを汲み取ったダブルミーニング

『逆夢』は、一見乙骨・里香の愛に当てはめながら、知っている人にとっては夏油と五条にも当てはまる、ダブルミーニングの歌詞であると感じました。冒頭で、作詞を担当したKing Gnuの常田氏は「作品の奴隷」となって制作したと紹介しましたが、「呪術廻戦」においてこの「劇場版 呪術廻戦 0」がどういう意味や役割を持つのかを汲み取ってくれたのではないでしょうか。熱狂的なファンが多い「呪術廻戦」の曲ということで、きっとかなり読み込まれたのではと思います。

ちなみに『逆夢』のMVでは、白いカーネーションを献花し、火葬するようなシーンがあります。白いカーネーションの花言葉は「純粋な愛」「私の愛は生きています」という意味だそうです。

「劇場版 呪術廻戦 0」の世界観をそのまま音楽で表現し、セリフにはされていない登場人物の想いを歌詞にしてくれたような『逆夢』。原作ファンの方は、きっと似たように心に刺さったため泣けるのではないかと思います。エンディングテーマを含めて「劇場版 呪術廻戦 0」だと感じさせてくれた一曲でした。劇場で作品をご覧になる際には、ぜひ最後まで見届けてください。